10月2日から4日にかけて、フランス・エルネーのCircuit Raymond Demyにて、モトクロスの国別対抗戦「Monster Energy FIM Motocross of Nations(MXoN)」が開催されました。日本代表「TEAM JAPAN」には、ダートフリークがサポートする大城魁之輔と大倉由揮の2人が選ばれ、世界の強豪国に挑みました。さらに併催されたYZ BLU CRU FIM Europe Cup SuperFinaleには齋藤輪が出場。現地で見た3人の戦いをレポートします。
モトクロス・オブ・ネイションズとは

MXoNは、FIM(国際モーターサイクリズム連盟)が毎年開催するモトクロスの国別対抗戦。各国が3人1組のチームを組み、MXGP(450cc)、MX2(250cc)、MX OPEN(MXGPまたはMX2の排気量)の3クラスに1人ずつ出場します。土曜の予選でチーム内上位2人の順位の合計が少ない19カ国が決勝へ進み、それ以下の国はB決勝に回ります。なお、B決勝から決勝に進出できるのは総合1位のわずか1枠です。日曜の決勝は2クラスずつが混走する3レースで争われます。ライダー個人の速さだけでなく、3人の総合力が問われる大会です。
79回目となる今年の会場は、フランス北西部のエルネー。MXoNの開催は2005年、2015年、2023年に続いて4回目です。丘の斜面を使った急な上り下りに、粘土質の路面が特徴のコースで、地元フランスの観客がスタンドとコース脇を埋め尽くす光景はこの会場の名物でもあります。
日本は昨年、9年ぶりに決勝へ進んで37カ国中11位という結果を残しました。今年は「予選ストレート突破と決勝15位以内」を目標に挑みました。
日本代表に選ばれたダートフリークサポートライダー

今回日本代表に選ばれたのは、大城魁之輔、大倉由揮、横山遥希の3人です。そのうち、大城と大倉の2人はダートフリークサポートライダーで、日の丸を背負ってエルネーに臨みました。
MXGPクラスに出場した大城は、今季から全日本モトクロス選手権のヤマハファクトリーチーム「YAMAHA FACTORY RACING TEAM」に加入し、全日本モトクロス選手権IA1クラスでランキング上位を争っています。代表に選ばれたのは3度目ですが、過去2回は怪我で出場が叶わず、今回がMXoN初出場。DFGのウエアを着るライダーとして、MXoNに出場するのは大城が初めてです。
MX OPENクラスの大倉は、2025年のIA1チャンピオン。今季も第7戦終了時点でランキングトップに立つライダーです。MXoNは2022年から数えて4度目の出場。チームでいちばん経験のあるライダーとしてチームを牽引しました。
日本代表だけの特別デザイン



MXoNでは、各国の代表チームがこの大会のためだけにデザインされたウエアをまといます。日の丸を背負う3日間のために用意された特別仕様です。大城が着用したのは、DFGの特別ウエア。ヤマハカラーの青をベースとして、白と赤の日の丸カラーが目を引きます。ハンドルには、日本代表仕様のバーパッドも装着。

大倉は、アルパインスターズの日本代表特別デザインのウエアとブーツで出場。ジャージには日本を象徴する「侍」が描かれています。
予選総合24位、ブラジルと1ポイント差で決勝進出を争う

土曜の予選で最初に走ったのは、MXGPクラスの大城です。午前のフリープラクティスで好感触をつかんで臨んだ予選でしたが、1コーナーで転倒したライダーに突っ込んで止まってしまい、1周目は25〜26番手。しかしそこから怒涛の勢いで追い上げを続け、18位まで順位を上げてチェッカーを受けました。続くMX2クラスの横山も好スタートを切ったものの転倒があり20位でフィニッシュ。この時点で日本は予選通過ラインをブラジルとわずか1ポイント差で争っていました。

勝負は最後のMX OPENクラス、大倉の走りに託されます。大倉は15番手あたりからスタートすると、1周目に数台をかわし11〜12番手に浮上。このままいけば予選通過は確実という位置を走っていましたが、レース序盤に、後ろから飛んできたライダーが大倉の腕の上に着地するというアクシデントが発生。大倉は激しく地面に叩きつけられるクラッシュを喫します。その後大倉は再スタートしたものの、痛みが強く、そのままリタイアとなりました。この結果日本は予選総合24位となり、B決勝に進むことになります。
B決勝、大城がホールショットから3位と健闘を見せる

最終日、大倉は当日朝まで予選時に負った怪我の様子を見ていましたが、大事をとって棄権すると決断。これにより、B決勝は大城と横山の2人で挑むこととなりました。

グリッドでイン側を選択した大城が1コーナーで前に出てホールショットを獲得し、レースをリードする展開。さらに横山も5番手あたりにつける好スタートを決めてレースを進めます。順調な滑り出しを見せた日本代表ですが、1周目、大城がジャンプ前のわだちでバランスを崩してテーブルトップを飛べないミスを喫し、その間に3番手に後退。その後、前を走っていたライダーの転倒により2番手に浮上しましたが、レース終盤に再び転倒。すぐに復帰しますが、3番手でチェッカーを受けました。大城が3位、横山は8位でレースを終え、日本はB決勝総合3位。惜しくも決勝には届かず、最終順位は総合22位でレースを終えました。
大城魁之輔
「率直に、悔しいです。今回同世代の3人で出場できて、情報を共有し合いながら挑めたと思います。予選も転倒がなければ決勝進出が確実だったという結果で、かなり悔しいです。ただ、初めてネイションズに来て感じたのは、自分たちは成長の幅がまだまだある次元にいるということです。言葉で言うのは簡単ですけど、僕らも練習をサボっているわけではないですし、世界との差を縮める難しさも同時に感じています。ただ、自分たちのレベルがわかり、リアリティチェックになりました。絶対にまたリベンジをしたいです」
大倉由揮
「ブラジルとはほとんどポイントが並んだ状態で、最後に自分の番が回ってきました。スタートは15番手くらい。1周目で何台か抜いて、2周目、3周目は予選通過が見える順位を走れていたんですが、ジャンプを降りた瞬間、後ろのライダーのタイヤが腕の上に落ちてきていました。なんとかバイクを起こして走り出しましたが、予選通過圏内まで追い上げられる痛みではなかったので、リタイアすることを選びました。日曜日も走りたかったですが、腕の腫れが続いていて、欠場することにしました。B決勝の2人の走りから、なんとしてでも決勝に行こうという気持ちが見えて、胸が熱くなったと同時に、そこで一緒に走れなかった、援護射撃ができなかった悔しさもすごくあって。いち観客のようにチームを客観的に見るのは、すごくつらい1日でした。今回のネイションズを通して、もっともっと速くなりたい、強くなりたいという向上心が生まれました。また3人でこの舞台に帰ってきたいと思います」
YZ BLU CRU SuperFinale、齋藤輪は追い上げ12位を獲得

MXoNに併催されたYZ BLU CRU FIM Europe Cup SuperFinaleには、44キッズクロスで腕を磨いてきた齋藤輪が、YZ85クラスに出場しました。MXoN前に行われたD.I.D全日本モトクロス選手権第7戦ジュニアクロスで優勝を果たした実力の高いライダーです。
齋藤は事前に『6位に入りたい』と目標を語っていましたが、決勝は序盤に転倒し、ほぼ最後尾からの追い上げに。そこから前のライダーを1台ずつかわしてポジションを上げ続け、12位でフィニッシュしました。海外を走るのは初めてでしたが、36台中12位にまで追い上げる実力を示しました。
MXoNの余韻が残る中、10月10日・11日にはD.I.D全日本モトクロス選手権シリーズ第8戦TOKIO INKARAMI Super Motocrossが埼玉県のオフロードヴィレッジで行われます。エルネーで世界のスピードを肌で感じたライダーたちが、日本のコースでどんな走りを見せるのか。ぜひ会場で応援してください。