モトクロスウエアには、夏用の通気性のいいモデルがあります。気になるその実力を徹底的に試してみました
手に届きやすくなった夏用ウエア
モトクロスはアメフトなみの激しいスポーツゆえに、専用のウエアはどれも通気性がいいものばかり。近年ではレーザーカットによるエアホールも進化していて、一層ウエア内の熱のこもりを防いでくれます。もう、ここまで通気性がいいなら夏用のウエアなんていらないのでは……と思ってしまうかもしれません。しかし、一度夏用のウエアを着てみるとその考えが間違っていたことに気づくはず。前面メッシュパネルで構成された夏用のウエアは、風を通すというよりもむしろ何も着ていないかのごとく風を感じるものです。今回は、この夏用ウエアの実力を夏直前に徹底テストしてみました。
テストに用いたのは、FOXの新型夏用ウエア。昨年までは、FOXの夏用ウエアはエアーラインとして、年間通して販売されている180、360、フレックスエアとは別にラインナップされていました。2025モデルでは180エアーとして180をベースとした新たなベンテッドモデルとして登場しています。
FOX
180エアーヘイズ ジャージ/パンツ
¥9,680/¥30,800
まずはジャージを見てみましょう。どのパネルも目の粗いメッシュで作られており、インナーなしでは恥ずかしさを感じるくらい透けてしまいます。素材はフレックスウエアのような伸縮性に特化したものではないものの、必要十分な着心地です。
夏の場合はプロテクターを外に出して着用すると一層空気が抜けやすいですね!
パンツもほとんどがメッシュでできています。特に前面のパネルが通気性に効きます。ジャージ同様、下に着ているものは透けてしまいます。インナー必須です
背面は特に目の粗いメッシュになっていますね。ニーブレレイスも透けてしまっています
なお、インナーにも徹底的にこだわり、DFGのレーシングシャツ/パンツ クールを使っています。こちらもメッシュ素材が多用されていて、さらに汗で貼り付きにくいモデル。裸よりも涼しいと言われる夏必須のインナーです
DFG
レーシングシャツ クール
¥6,600
DFG
レーシングパンツ クール
¥9,680
サーモで3度違う、圧倒的な涼しさ
テストは埼玉県のモトクロスヴィレッジで行いました。季節は5月、気温もモトクロス日和で26度。あえて熱がこもりやすいように、しっかりウォームアップを済ませた後、5周ほどタイムアタックしてみました。身体がしっかり動いたことが客観的にわかるように、心拍数が180を超えたのを確認したら、サーモグラフィカメラで計測するという方法です。
まずは、DFGの定番商品であるソリッドウエアをテスト。ソリッドウエアはDFGのラインナップの中でもコストパフォーマンスに優れたモデルで、必要十分な運動性能と通気性、そして耐久性を持っています。DFGのハイエンドモデルWORXと比較してしまうと、どうしても動きづらさがあるので、若干ながら腕や脚でバイクを操作するときに筋肉をより強めに収縮させているかも知れません。ベストコンディションのモトクロスヴィレッジをしっかり攻めきって1分6秒(かなり遅いです!)、心拍数が180を超えたのを確認しました。
サーモグラフィを見てみましょう。色が濃いところは温度低め。薄い黄色の部分が高めで、最高36.5度と出ました。上半身、下半身ともにまんべんなく熱がこもっているのがわかります。激しい運動のあとなので、当然暑いですね。
さて、それでは本題のFOX180エアーで走ってみましょう。走り出した瞬間にこれは違うなと感じるほどの通気性です。上半身も、下半身もしっかり通気性があるのがよくわかります。冬にこれで走ったら、身体が温まらないかもしれませんね。とにかく涼しさが際立っています。着心地ですが、180ベースなのでそこまで伸縮性は高くありません。筆者は街着で32インチのパンツを履いていて、モトクロスでは流行に即してぴったりサイズの30インチを履いているのですが、今回テストには28インチのパンツを使用しています。太もも周りがパツパツなのですが、それでも涼しさは段違いでした。
サーモグラフィをみてみると、全体的にDFG SOLIDよりも3度ほど低い結果になりました。特に下半身や、膝付近の温度低下が顕著です。走行風がしっかり効いて、身体を冷やしてくれた証拠がしっかり出ました。実際、心拍数を180まで上げるのは、少し苦労したくらいです。さらに季節が進んで7月となってくればもっと差は拡大することでしょう。
日本の夏が酷暑化してからというものの、熱中症への危険性はどんどん増しています。いまや対策無しに夏の運動に臨む人は少ないと思いますが、夏用ウエアは見ての通り圧倒的なパフォーマンスを発揮してくれます。ぜひ、今夏の熱中症対策に取り入れてみてください。