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【Race Report】MXoN日本代表9年ぶりの決勝進出、総合11位という快挙達成

モトクロスの国別対抗戦「モトクロス・オブ・ネイションズ(MXoN)」が、2025年10月3〜5日、アメリカ・インディアナ州にあるアイアンマン・レースウェイで開催。ダートフリークのサポートライダーである中島漱也と大倉由揮、さらにダートフリークの取扱ブランド・FOXを着用する下田丈が日本代表として挑んだ。

予選総合10位、9年ぶりの決勝進出を果たす

予選は各クラスで行われ、チーム内上位2名の順位合計数が少ない順に通過順位が決定する。日本チームは2016年以来決勝へ進出しておらず、まずは予選通過ライン19位を目指して予選に挑んだ。

1組目となるMXGPクラスには大倉が出場。スタート17番手あたりから15番手にまで追い上げると、その後も前を走るライダーを猛追する。あと少しで順位をもうひとつ上げることができるという状況の中、レース終盤にマシンから身体が10mほど投げ出される大クラッシュ。幸い大事には至らず、大倉もすぐに立ち上がりレースを続行したことで19位と、大きく順位を落とすことなくレースを終えた。

2組目は中島が出場するMX2クラス。好スタートを決め12番手あたりからレースを進める。12〜15番手あたりは混戦となるが、中島は「少しでも上位でゴールして次に走る丈の気持ちを軽くしたい」という思いで接戦を展開。最後まで粘り強く走り、14位でゴールを果たした。

3組目のMX OPENクラスでは、下田が好スタートを決めて4番手から追い上げる。上位ライダーを上回るスピードで、周回を重ねるごとに前との差を詰めるとレース中盤に2番手に浮上。450ccマシンでのデビュー戦で、見事2位を獲得した。

結果、日本代表は大倉19位・中島14位・下田2位となり、合計ポイントは16(14+2)。総合10位を獲得し、2016年以来9年ぶりとなる決勝進出を果たした。

決勝11位でフィニッシュ

決勝は30分+2周、2クラスの混走で3レースが行われる。MXGPクラスの大倉はレース1とレース3に出場。レース1では序盤12番手につけるとポジション争いを展開。勢いのある走りを見せるが、序盤で転倒を喫し35番手あたりまで後退、その後も追い上げるも31位フィニッシュとなった。レース3ではスタート直後のクラッシュに巻き込まれ転倒。31番手あたりからの追い上げを強いられる。最後まで粘り強く走るも、前のライダーとの差が開き29位でゴール。

一方、MX2に参戦する中島はレース1とレース2に出場した。レース1では19番手につける良い出だしとなったが、3周目あたりで転倒。これにより30番手からの追い上げを強いられ、ペースを上げきれず36位でチェッカー。続くレース2ではスタートで25番手あたりにつける。ここから上の順位を目指すも、後方から迫るライダーを抑えながらのレースとなり、前のライダーとの距離は徐々に離れ、29位でフィニッシュとなった。

MX OPENの下田はレース2とレース3に出場。レース2では下田は好スタートを決めて1コーナーに先頭で進入する。しかしブレーキングにミスがあり後退。5番手あたりから追い上げる展開となった。下田は序盤こそパッシングに苦戦したものの、前のライダーとの接戦を繰り広げる中で攻略し、レース中盤には2番手に浮上。そのままゴールを果たした。レース3には、MXGPの大倉とMX OPENの下田が出場した。下田はレース2と同様抜群の反応で抜け出し、ホールショットを獲得。先頭に立ちレースをリードしていくが、2周目でハンター・ローレンスやルーカス・クーネンが下田をパス。その後、一時は2番手に浮上したが、体力が限界に近づいていき、後方からティム・ガイザーやイーライ・トマックが迫る。抑える走りを見せるも、前を譲るかたちとなり結果6位でフィニッシュを果たした。

日本チームの結果は合計99ポイント。総合11位という結果で幕を閉じた。

下田丈
「両ヒートともにスタート出られて良かったです。ただやっぱり、相手も何十年も乗っている選手が多いので、そう簡単には前を譲ってくれなかったんですね。450ccに乗るライダーってコース幅を広く使う印象が強くて、後ろから攻めた時にラインをクロスして閉じられたりとか、そういうのが多かったので、最初は苦戦しましたが、自分としては全体的にやれることはやれたと思いますし、自分のスピードが意外と通用するということを実感できました。9年ぶりに予選通過を果たせて、総合11位でレースを終えることができてチームとしても良かったと思います」

大倉由揮
「1年目雰囲気に飲まれていましたが、今回は特別な緊張もなく臨むことができました。やはり、海外経験が増えたことと、経験を通じて海外に知り合いがたくさんできたことは会場での気持ちの安定につながりました。コースの難しさは、もっと経験を積まないとうまくなれないと感じました。もっと場数を踏んで、自分をレベルアップできるのではないかと思います。 ‎‎チームとしての作戦も上手くいき、予選通過と決勝11位という結果を残せて良かったです。ただ、2レースとも転倒がなかったら、、と考えてしまいます。どういうレース展開になっていたかは分かりませんが、もっといい位置に入れていたと思います。日本から選ぶなら大倉だなと言われるくらい、これからも頑張っていきたいと思います 」

中島漱也
「インターバル期間の事前練習や大会1週間前から現地入りするなど、雰囲気には慣れていたので練習走行も誰かについていく必要がなく、最初から自分のペースで走れました。これまで積み重ねてきたことがちゃんと生かされて、気持ち的に楽だったというのはあります。10位で予選通過して総合11位という結果はチームにとって良かったと思います。ただ、丈がこうやってレースしてくれる中で、もう一人のライダーとしての役目を自分ができなかったという悔しさがあります。コースはめちゃくちゃ難しかったです。土は重いのですが、下はかなり硬くて、レールが掘れてくるとそこがすごく滑りやすくなり、ずっと気を遣いながら走っている感じでした。ペースを上げたくても上げられず、あのコンディションを良いリズムで走れるようになるというのは今後の課題です」

代表メンバーを支えたダートフリークアイテム

日本の国旗をモチーフにした特注デザインのウエア・ヘルメット・ブーツ

日本代表は毎年日の丸をモチーフにデザインされた特注ウエアとヘルメット、ブーツを着用してレースに挑む。今回は大倉と下田がFOX、中島がAlpinestarsのウエアを着用。赤と白というカラーリングに日の丸が描かれたデザインは会場でも目を引いた。

スタートで前に出る、大倉由揮使用ホールショットデバイス

ZETA RACING
プロ ラウンチコントロール KAYABA/WP SHOWA

大倉はZETA RACINGのホールショットデバイスを使用。メッシュスタートに苦戦し後輪を滑らせたりするライダーもいる中、予選で19番手、決勝で12番手につける良いスタートを見せた。

飛び石の被害を避ける、大倉由揮使用ZETA RACING ハンドガード

ZETA RACING
インパクトX3ハンドガード

コースは硬い路面の上に土が乗っており、走行中に前のライダーからルーストを受ける場面が度々見られた。そんな飛び石による被害を抑えるために、下田と大倉は決勝レース走行時にハンドガードを装備。大倉はZETA RACINGのハンドガードを使用した。

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アニマルハウス

世界でも稀な「オフロードバイクで生きていく」会社アニマルハウス。林道ツーリング、モトクロス、エンデューロ、ラリー、みんな大好物です。

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