バイク ライディングギア

2026年版、膝プロテクターの選び方

エントリーユーザーがオフロードバイクの装備を揃える際、ヘルメットやブーツには高額な予算を割いても、膝のプロテクターとなると優先順位が下がってしまうことは少なくありません。転んだ時に膝を打つと痛いから着ける、あるいはレースのレギュレーションにあるから着ける。そういった認識で選ばれがちなプロテクターですが、実はオフロード走行において膝を守ることは、ライダー生命そのものを守ることと同義と言っても過言ではありません。

なぜなら、オフロードバイクでの転倒やアクシデントには、単なる打撲や骨折以上に恐ろしい「靭帯損傷」のリスクが常に潜んでいるからです。コーナーで足を出した瞬間に路面のギャップに足を取られたり、転倒したバイクの下敷きになって膝が本来曲がらない方向へ捻じ曲げられたりすることで、前十字靭帯などを損傷してしまうケースは後を絶ちません。一度靭帯を断裂してしまうと、手術には高額な費用がかかり、リハビリを含めてバイクに乗れない期間は半年から1年以上にも及びます。簡単に比較はできませんが、骨折よりも遙かに厄介なことに鳴ることも多いのです。ニーブレースは高価な装備と思われがちですが、失う時間と治療費、そして後遺症のリスクを天秤にかければ、これほどコストパフォーマンスの高い保険はありません。

ここでは膝を守るための装備を「ニーブレース」「可動型プロテクター」「ニーシンガード」の3つのカテゴリーに分け、それぞれの役割と構造的な違いについて深く解説していきます。

初心者もできればニーブレイスを付けて欲しい

膝のプロテクターはどれも同じように見えるかもしれませんが、その守備範囲と構造によって明確に分類されます。最も防御力が高いのが「ニーブレース」です。これは関節の保護と衝撃からの保護を両立した最強のプロテクターです。硬質のフレームで膝関節を左右から挟み込み、物理的に可動域を制限する構造を持っています。膝が真っ直ぐ以上に伸びてしまう過伸展、いわゆる「逆パカ」を防ぐためにヒンジ部分でロックがかかる仕組みや、転倒時や着地時に膝が内側や外側に不自然に曲がるのを防ぐ剛性が備わっています。

次いで普及しているのが「可動型プロテクター」です。ピボット付きニーガードとも呼ばれ、動きやすさと衝撃保護のバランスに優れています。膝のカップとスネのガードが回転軸(ピボット)で連結されており、膝の曲げ伸ばしに合わせてスムーズにスライドして動くのが特徴です。ニーブレースのような捻れ防止効果はありませんが、膝を曲げた状態でも隙間ができにくく、常に膝頭をカップが覆ってくれる安心感があります。

そして最も簡易的なのが「ニーシンガード」です。プラスチックの板にベルトがついたシンプルな構造で、主に打撲からの保護を目的としています。安価で軽量、装着も簡単というメリットはありますが、関節を守る機能は期待できません。転倒時に衝撃でガード自体が回転してずれてしまうこともあるため、激しい走行には不向きです。

前述した通り、膝で怖いのは靱帯を傷めてしまうこと。そしてこの靱帯というのは、足をプロモトクロスライダーのように前に出すのではなく横に出してしまい、地面に持って行かれるような場面で傷めがちです。つまり、実は速度域が高い林道走行時や、初心者も十分に傷めやすい箇所。ですから、ライドハックでは値が張るものの林道走行がメインであったとしても、できればニーブレイスをおすすめしておきたいところです。

ニーブレースは靭帯を守る「命綱」

ニーブレースはもともと医療用の装具から発展したもので、左右の剛性フレームをつなぐヒンジが膝の動きをコントロールし、人間の関節可動域を超えた動きが発生しそうになった瞬間に物理的にストップをかけることで靭帯の断裂を防ぎます。このヒンジの構造こそが、各メーカーの技術の見せ所であり、装着感の良し悪しを決める最大の要因です。

数あるニーブレースの中でも、長年にわたり大きななシェアと信頼を獲得しているのがPODです。PODが多くのライダーに選ばれ続ける理由は、その独自のヒンジシステムにあります。多くのメーカーが金属製のギア(歯車)を噛み合わせることで膝の動きを再現しようとするのに対し、PODは「人工腱(シンセティックリガメント)」という独自の技術を採用しています。

この人工靭帯システムこそがPODの真骨頂。ヒンジ内部にはVectran繊維で作られた紐状のパーツが内蔵されており、これが人間の膝にある靭帯と同じようにしなやかに伸縮します。他ブランドのギア式特有の機械的な摩擦感やギコギコとした抵抗感がなく、驚くほど自然でスムーズな動きを実現しているのです。装着していることを忘れるほどの自然なフィーリングは、長時間のライディングにおける疲労軽減にも大きく貢献します。

また、メンテナンスによって性能を維持できる点もPODの大きなメリットです。金属ギア式の多くは摩耗すると本体ごとの買い替えを余儀なくされますが、PODの人工靭帯は交換可能な消耗品として設定されています。使用に伴って繊維がほつれてきても、パーツを交換するだけで新品同様のホールド感が復活します。本体フレームが破損しない限りリペアパーツで長く使い続けられるため、初期投資は高くても長期的なランニングコストは非常に優秀なのです。さらにフレームがスリムで表面が滑らかなため、モトクロスパンツを内側から破ったり、ニーグリップした際にバイクの外装を傷つけるリスクが低い点も、多くのライダーから支持される理由の一つです。

ニーブレースおすすめ商品紹介

POD


POD
K8 3.0 ニーブレース(左右セット)
¥156,200
https://www.dirtfreak.co.jp/products/detail/G5069PO-4547836520884/
鍛造カーボンフレームを採用したPODのフラッグシップモデル。人工靭帯ヒンジにより自然な可動を確保しつつ、過伸展を物理的に抑制する設計です。

POD
K4 2.0 ニーブレース(左右セット)
¥91,300
https://www.dirtfreak.co.jp/products/detail/C3174po-0815742013573/
POD独自の人工靭帯ヒンジを搭載したスタンダードモデル。グラスファイバー系フレームを用い、装着感と耐久性のバランスを重視しています。

Alpinestars

Alpinestars
RK-10 プラズマ ニーブレース
¥158,290
https://www.dirtfreak.co.jp/products/detail/D3231ALP-4547836519024/
カーボンフレームとPLASMAプロテクターを組み合わせた最上位ニーブレース。高剛性と軽量性を両立した構成です。

Alpinestars
RK-1 プラズマ ニーブレース
¥46,090
https://www.dirtfreak.co.jp/products/detail/D3239ALP-4547836519109/
PLASMAシリーズのエントリーモデル。軽量でスリムな構成とし、扱いやすさを重視しています。

可動型プロテクターは動きやすさと防御力を両立

ニーシンガードがずれてしまうのが嫌だ、あるいはペラペラのガードでは不安という層に最適なのが可動型プロテクターです。このタイプ最大の特徴は、膝関節部分に設けられたピボット(ヒンジ)システムです。膝の曲げ伸ばしに合わせて、膝蓋骨(お皿)を覆うカップとスネ部分のガードが連動してスライドする構造になっています。これにより、膝を深く曲げた状態でもプロテクターと膝の間に隙間ができにくく、常に膝頭をガードし続けることができます。

また、装着感の良さも大きなメリットです。上下のストラップで太ももとふくらはぎをしっかりとホールドできるため、走行中の振動や激しいアクションでもずり落ちてくるストレスが非常に少なくなっています。注意して欲しいのは、ニーブレースのような捻じれ防止効果はまったくありません。ニーシンガードと、ニーブレースは似て非なるもの。あくまでニーシンガードは衝撃から膝やスネを守るだけのものです。ニーブレースに似ている可動型プロテクターをニーブレイスと勘違いして購入される方が多いので、ご注意のほどを!

可動型プロテクターおすすめ商品紹介

 

DFG

DFG
アーマックス プロ ニーシンガード
¥12,100
https://www.dirtfreak.co.jp/products/detail/dg6130-4547836533235/
膝上まで覆う大型シェルとヒンジ構造を採用。可動性と防御範囲の拡張を狙った設計です。

FOX

FOX
タイタン プロ D3O ニーガード
¥28,600
https://www.dirtfreak.co.jp/products/detail/03621titanprod3okneeshin-0191972420757/
D3O素材を内蔵した可動式ニーガード。衝撃吸収性能と屈伸への追従性を両立しています。

Alpinestars

Alpinestars
SX-1 プラズマ ニープロテクター
¥20,240
https://www.dirtfreak.co.jp/products/detail/D8659ALP-4547836554209/
PLASMAプロテクターを採用した可動式モデル。セミリジッドフレームで膝の動きに追従します。

Alpinestars
SX-1 V2 ニーガード
¥19,690
https://www.dirtfreak.co.jp/products/detail/C1455AL-8059175286988/
左右非対称設計とヒンジ構造により、屈伸動作に対応するニーガードです。

手軽なニーシンガード

最後に紹介するのは、最もシンプルな構造を持つニーシンガードです。基本的にはプラスチックのシェルに衝撃吸収材のフォームが貼られ、ベルトで固定するだけの単純な作りになっています。可動部を持たないため、膝を深く曲げるとカップが浮いてしまったりずれてしまったり、装着時に突っ張り感を感じたりすることがあります。

しかし、その単純さゆえに圧倒的に安価で軽量であり、装着の手間もほとんどかかりません。河川敷で少しバイクを走らせてみる場合や、すぐにサイズアウトしてしまう子供の練習用としては十分な役割を果たします。ただし、本格的なコース走行やレース参戦を考えるようになったら、安全のために早めに可動型プロテクターやニーブレースへのステップアップを検討すべきでしょう。

ニーシンガードおすすめ商品紹介

DFG

DFG
アーマックス ニーシンガード
¥4,620
https://www.dirtfreak.co.jp/products/detail/4547836545900/
膝とスネをハードシェルで覆うシンプルなニーシンガード。最上部のバンドがしっかり位置ずれを防止してくれます。

DFG
インナープロテクター ニー
¥4,950
https://www.dirtfreak.co.jp/products/detail/dg5007-4547836523649/
パンツ内に装着するインナータイプ。薄型設計で動きを妨げにくい構成です。膝のみを守ってくれます。

FOX

FOX
タイタン レース ニーシンガード
¥11,495
https://www.dirtfreak.co.jp/products/detail/03622FAtitanracekneeshin-4547836469152/
通気孔を設けたハードシェル構造。レース用途を想定し、冷却性と装着感に配慮しています。

FOX
タイタン スポーツ ニーシンガード
¥7,315
https://www.dirtfreak.co.jp/products/detail/03622FAtitansportskneeshin-4547836469145/
タイタンシリーズのベーシックモデル。広い保護範囲とシンプルな構成が特徴です。

Alpinestars

Alpinestars
バイオニック アクション ニーガード
¥5,390
https://www.dirtfreak.co.jp/products/detail/C1451AL-8059175288166/
ハードシェルとフォームを組み合わせたベーシックモデル。ズレにくさを考慮しています。

冒頭で触れたように、林道ツーリングや初心者のオフロード遊びにもできればニーブレイスを装着したほうが安全です。ニーブレイスはこの3種類の中で、まったく違うプロテクション性能を持っていると言えばわかりやすいかもしれません。グレードの違いというよりは、異質の装備なのです。靱帯を守りたかったらニーブレイスをするべきですし、膝を守りたかったらニーシンガードで事足ります。ご自身のオフロードでの遊び方にあわせて、最適なものを選んでください。

  • この記事を書いた人

アニマルハウス

世界でも稀な「オフロードバイクで生きていく」会社アニマルハウス。林道ツーリング、モトクロス、エンデューロ、ラリー、みんな大好物です。

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