「オフロードバイクを始めたい!」と最初の一歩を踏み出す時、まず用意しておきたいものがヘルメットやブーツ、プロテクターなどの装備です。いまやほとんどのものはインターネット通販などオンラインで手に入る時代のため、これらの装備はスマホひとつで購入することができます。しかし、安全性は確かなのか、自分の身体に合っているのかなど、画面越しでは判断しきれない部分も多くあります。特に最近では悪質な模倣品が出回り、せっかく購入してみたはいいものの強度や安全性が足りていなかった、なんていうことも……。だからこそ知っておきたいのがフィッティングの大切さです。この記事では、ダートフリークの直営店であるダートバイクプラスの店長やスタッフに取材し、フィッティングの重要性やダートバイクプラスの実店舗で出来ることをお伝えします。
ダートバイクプラス瀬戸店 寺尾店長が語るフィッティングをするメリット
ダートフリークの直営店舗である「ダートバイクプラス」は、愛知県にあるダートフリーク本社の1階にある瀬戸店をはじめ、大阪、神戸、またフランチャイズ店として柏や札幌など全国に店舗を構えています。また、オンラインサイトも充実しており実際に店舗に行くことが難しい方はオンラインでも商品を購入することができます。
店舗とオンライン、どちらも充実している中で実際に店舗に足を運ぶメリットとは? フィッティングをする必要性とは? 瀬戸店の寺尾店長に話を聞きました。
① 自分に合ったサイズを知る
オフロードバイク競技では一度の転倒で重傷を負う可能性もあるため、装備はかなり重要なアイテムです。しかし、自分の身体に合っていない装備は、転倒した際に衝撃から十分に守ることができず、怪我の原因になってしまったりと、逆に危険性が増してしまいます。
装具のサイズ感は同じS/M/Lでもメーカーによっても異なり、特に初めての方はどれが自分の身体に合うのかわからない方も多いでしょう。店舗ではオフロードバイク経験者のスタッフが製品の案内やフィッティングをサポートします。林道を走りたいのか、モトクロスをしたいのかなど目的に合った商品をおすすめするとともに、どれくらいの締め付けがベストなのか、サイズが緩い場合の調整など、フィッティングを通して自分にぴったりのサイズを知ることができます。
② 装備の組み合わせ、安全な装着方法を知る
寺尾店長によると、「フィッティングはサイズ感を知るための手段でもあるのですが、正しい装着の仕方や組み合わせ方を知るという点でも重要です」とのこと。
「ありがちな話で言うと、例えばネックブレースとチェストプロテクターの組み合わせが良くなくて、ちゃんと機能してない状態で使用しているライダーを見かけたりします。ネックブレースは前後にべろが出ていて、それをチェストプロテクターの上に乗せる方式と内側に入れる方式があります。組み合わせが悪かったり、内側に入れるべきものを外に出してしまうと、ネックブレースの位置が通常よりも上に上がり、首が回らなくなります。この状態だとライディングもしづらくなるのですが、初心者の方にとってはそもそもその感覚がわからないと思います。正しい組み合わせについてはダートバイクプラスのブログやコラムでも情報発信していますが、みなさんがそれを目にしてるわけではありません。
また、実店舗に来てフィッティングすることで、単体のサイズ感もそうですが、他の装備との相性や組み合わせ方を確認することができます。装着の仕方に問題がないか、スタッフが実際に見て確認したりアドバイスをするなど、オンラインだとフォローしきれないところまで対応することができます。ダートバイクプラスにはヘルメットやプロテクター類、ウエアなどオフロードを始めるための装備がすべて揃っています。店舗に来て一度全身装備を試着していただくこともできますので、気軽に相談いただきたいですね」(寺尾店長)
③ ブランドの歴史や背景を知る
また、ダートバイクプラスでは、FOXやアルパインスターズなど様々なブランドを取り扱っています。それぞれのブランドが持つ歴史や特徴などを知ることで、自分の好みに合ったアイテムを選ぶことができると言います。
「ブランドの組み合わせに正解はありませんが、例えばFOXのブーツを履いてアルパインスターズのジャージを着る、というのは、マニア目線でしっくりくるかというと少し違和感を覚える人がいるかもしれません。これは両方のブランドの歴史やイメージを知っているからこそなのですが、アルパインスターズといえばブーツ、FOXといえばウエアというイメージから、多くのライダーがFOXのジャージを着てアルパインスターズのブーツを履くという組み合わせをしています。間違いでも不具合が起きることでもないですが、この組み合わせの感覚はブランドごとの特色を知ることで生まれます。ブランドごとの違いや背景を知ることで、コーディネートが楽しくなると思います」(寺尾店長)
「いつでも相談してね」ダートバイクプラスならではの強み
寺尾店長にインタビューをする中でダートバイクプラスの強みが浮かんできました。それはスタッフとの距離の近さです。
「ダートバイクプラスには『町の小さい電気屋さんでありましょう』というモットーがあります。これはどういう意味かというと、町の小さい電気屋さんって値段が安いわけでもめちゃめちゃ品揃えがあるというわけでもないのですが、長年続いているんですよね。その理由を考えると、お客さんへのフォローや気遣いが手厚いんですよね。例えばちょっと電球変えてほしいと言われた時に、あの人の家の電球は多分これだから……と用意してパパッと交換する。そういう、地域に根付いたお店になりたいなと。オフロードバイク用品の店舗の中でも、ある程度近い距離でサポートするし、わかんなかったらとりあえず頼ってもらえる、そういう馴染み深さを持つように意識しています。
お店としては、商品を売るだけでなく、お客様に合ったものや正しい使い方を知ってもらうというところまでフォローできるのは強みだと思っています。これは店舗に限らずオンラインサイトでも同じで、わからないことがあったら気軽に電話をかけて来てねというスタンスです。オンラインでもスタッフの顔がある程度見えるようにしてあるので、これって自分に合うのかな? とか、このブランドとこのブランドの組み合わせってありなの? みたいなのは気軽に聞いて欲しいですし、答えます」(寺尾店長)
このように、ダートバイクプラスは気軽に頼れる距離感の近さと包容力、わからないことがあったら任せられる安心感があります。
実際どうなの? 店舗でのフィッティングの様子
実際に店舗ではどんな風にフィッティングが行われるのでしょうか。千葉県柏市にあるダートバイクプラス柏店を訪ねて、実際の現場でのフィッティング方法を取材しました。
ダートバイクプラス柏店
〒277-0922 千葉県柏市大島田394 ライコランド柏1F
営業時間:10:00〜20:00(不定休)
電話番号:04-7193-4182
ダートバイクプラス柏店は、元々ダートフリークがプロデュースを手掛けていたライコランド柏のオフロードコーナーを2024年7月にリニューアルし誕生した場所。ライコランド柏店の店内の一角にあり、1階入り口から奥に進むと見えてきます。ヘルメットやウエア、プロテクター、パーツなどがずらりと並び、東日本最大級を誇る品揃えを誇っています。さらに、試着室も広く、スペースにゆとりがあるため子供連れで来ても試着しやすいのが魅力の一つです。
担当してくれたのは入社2年目のスタッフ二宮さん。元々オンロードバイクの写真を趣味で撮影していたところ、ハードエンデューロの現場に誘われたことをきっかけにその楽しさにハマり、今ではホンダ CRF110Fに乗ってオフロードを楽しんでいるライダーです。
ブーツはメーカーによって異なる履き心地を試す
足のサイズ、幅の広さには個人差があるため、ブーツは実際に履いて試着をおすすめするアイテムの一つ。二宮さんにお聞きしたところ、ブーツと言っても用途によってその特徴は全く異なるため、用途・サイズ・履き心地などを見ておすすめの一足を決めると言います。
「ちょっとした砂利道を走りたいだけなのか、それともそこから林道に入っていきたいのか、走るコースは河川敷なのかはたまたモトクロスコースに行きたいのか……まずは用途を聞いて、それに合ったブーツをおすすめしています。例えば林道へ行くならプロテクション性能が高いものがいいですが、帰りにお蕎麦屋さんに行きたいなら街中でも歩きやすいものが良いでしょう。また、メーカーによって履き心地が違うので、似た特徴を持つブーツを履き比べていただくこともできます。FOXとDFGは比較的幅が広めなので、ふたつを履き比べてもらうことが多いです。硬さもブーツによって違うので、好みが分かれるところで、特に初心者の方はブーツに慣れていないので、柔らかめのものからおすすめしています」(二宮さん)
二宮さん自身は指先が詰まるのが好みではないため、少し大きめのサイズのブーツを選び、くるぶし用のサポーターをつけて履くことで足首部分はぴったり、足先には余裕が出るように工夫しているそう。フィッティングをする中でこのような履き方の豆知識を得ることもできます。
なお、フィッティングをしに来たいという方には走行時に使用するような厚手の靴下の持参をすすめているとのことですが、忘れてしまった場合貸出用のソックスも置いてあるとのこと。ブーツの隣には各ブランドのソックスも揃っているため、生地感やブーツのサイズ感をしっかり試すことができます。
ニーブレースはパッドを使って微調節可能
膝を守るためのニーブレースもフィッティングしてほしいアイテムの一つ。特に膝周りはパッドで調整することもできるため、店舗で調整してぴったりのサイズや調整方法を知ってほしいとのこと。

調整用パッド。部分的に使用できるためライダー一人一人の膝の形に合わせてフィット

パッドは厚みの違う2種類が揃っています
「人によって膝の形って違うんです。骨が出っ張ってる人、太ももが太い方もいれば、ふくらはぎは太いけど膝周りだけすごい細いみたいなひょうたん型の方もいたりと様々なので、フィッティングする際にはその人に合わせてパッドで調節しています。例えばPODでは厚みの違うパッドが2種類と、部分的に使用するパッドがあるので、フィッティング時にはこれも実際に使ってサイズを調整します。ニーブレースは座った時と立った時でも着け心地が変わるので、まずはサイズを確認して正しい着け方を試してから購入してほしいですね」(二宮さん)
実際につけて確かめる、ネックブレース&チェストプロテクターの正しい組み合わせ
寺尾さんの話の中でもあったように、ネックブレースとチェストプロテクターはそれぞれのサイズ感も大切ですが、組み合わせも重要です。
「ネックブレースとチェストプロテクターは正しく装着できていれば首が前後に余裕を持って動くのですが、やはり慣れていない人にとっては初めは違和感があるかもしれません。だからこそ一度試着して、これで合っているのかな? と確認していただきたいです。
また、チェストプロテクターは肩部分がついているものもあれば胸部分だけのスリムなタイプもあったりと種類が多いです。実際に、オンラインで購入したけど想像よりもゴツかった……という話も聞いたことがあるので、初めて購入する場合は試着した方が自分のイメージに合ったものを選ぶことができます」(二宮さん)
なお、店舗には計測用のメジャーがあります。胸部のサイズに合わせて商品名が書かれているため、これを使って実際に測ることで自分にぴったりのネックブレースを見つけることができます。
器具を使って測定、細かい部分まで調節できるヘルメットフィッティングサービス
ダートバイクプラスでは、SHOEIやアライなど様々なメーカーのヘルメットを取り扱っています。中でもSHOEIとアライは製造メーカーの講習を受けたスタッフによるフィッティングサービスがあり、
「ヘルメットは計測器具を使って頭の縦方向と横方向のサイズを測ります。頭に合ったサイズのヘルメットを選んだ後に、さらに余ってしまっている部分の調整などを行います。例えばレースに使う場合であれば、激しい動きの中でヘルメットがずれ動かないように少しきつめのフィット感で調整しますし、ツーリングの場合であればインカムをつけることを想定したフィット感で調整します。細かい部分まで対応できるので、ぜひ活用いただきたいですね」(二宮さん)
また、ヘルメットを被る際にはネックブレースを装着してフィッティングすることもおすすめだそう。実際にヘルメットを被った状態でどれほど首が動くのかも合わせて確認することが大切だそうです。
ヘルメットやブーツ、プロテクターといったオフロード装備は、ただ着ければいいというものではなく、身体にしっかりフィットしてこそ最大限の安全性と快適さが得られます。そのためにも、自分の体格やライディングスタイルに合った装備を専門知識を持ったスタッフと一緒に選ぶことが大切です。ダートバイクプラスには、初心者でも安心して相談できる環境が整っています。装備選びに迷ったら、まずは店舗に足を運んでみてください。