ダートフリークがサポートする全日本モトクロスライダー・大城魁之輔と、全日本エンデューロライダー・馬場亮太。現在は異なるレースで活躍する2人ですが、その出会いはモトクロスコース、そしてある時期をきっかけに今ではライダーとコーチという関係を築いています。今回の対談では、2人の出会いから、お互いの印象、コーチングを通じた成長などを語ってもらいました。
一切接点がなかった2人の第一印象
大城:その時は別に話すわけでもなく、うっすら存在を知っていた程度でしたね。亮太くんのお兄さん、大貴くんがたしか当時NAクラスで速くて、速い人の弟さんだという印象。
馬場:僕はその頃ただバイクを楽しんでる感じだったので、誰かと絡むってこともなかったですね。当時、僕は魁之輔より2歳上だったんですけど、記憶ではレースで負けていて、「2個下に負けたな」と思ったということだけうっすら覚えています。
大城:全く接点なかったよね。僕は10歳から14歳くらいまでの間、アメリカに行っていて日本に帰ってきた時に亮太くんはもう全日本モトクロス選手権のIBクラスに昇格していました。僕は帰国後地方選手権を走っていたので、同じレースに出ることもほとんどなかったです。お互い存在は知っていたけど、関わることはまったくなかったですね。
馬場:そうだね。魁之輔が日本に帰ってきた当時は小林伊織という速いライダーがいて地方選手権のジュニアクラスを無双していたのですが、魁之輔が小林くんに勝っていて、それを見て速さを実感しました。当時から乗り方がすごく独特だったんですけど、でも速いという印象がありました。
大城:ちゃんと話したのは2021年か22年くらいかな? 共通の知り合いの結婚式の二次会のテーブルが一緒になった時だったと思う。
馬場:そうそう、酔っ払った魁之輔に絡まれた(笑)。ただ、そこでも深い話はしてなかったよね。
大城:そうですね。その結婚式のすぐ後に亮太くんの結婚式が予定されていて、もちろんそれまで接点がなかったので呼ばれていないんですけど、同じくDFGライダーで仲が良い道脇白龍が行くって聞いていたんです。だから亮太くんにその場で「亮太くんの結婚式、二次会から行かせてくださいよ」ってお願いした記憶があります。
馬場:いや、その時の状況を再現すると、二次会終わって外歩いている時に肩を組まれて「僕も行っていいっすか!」って勢いよく絡まれた感じですよ。そんなに深い仲になってないけどなと思いながらいいよって言いました(笑)。
大城:お酒の力を借りた勢いですね(笑)。
出会い、そしてコーチとライダーの関係に

写真左:大城、右:馬場
そんな出会いを経て、2023年から大城は馬場にライディングを見てもらうことになりました。
大城:コーチングを頼もうと思ったのは、一緒に千葉県・柏のコースで練習した時でした。最初は各自練習をしていたのですが、亮太くんが午前中にバイクを壊してしまって、早めに終わってやることがないということで走りを見てもらったことがありました。それが自分的にすごく感触がよくて。後日「コーチングってやってますか?」とお願いしました。
馬場:言われた時、最初は正直先輩ヨイショだと思ってました。ただ、魁之輔は僕が言ったことを全部やろうとしてくれて、その姿勢を見てこれは本気だなと。名古屋と浜松で距離も近いしと思ってコーチングを引き受けました。コーチって練習を見ることが一番重要なので、魁之輔が練習する時はいつも一緒についていくようになりました。
2023〜2024年はがっつり練習を見ることができていたのですが、今年は魁之輔が「YAMAHA BLU CRU RACING TEAM」に所属したのと、僕の都合が合わない時も増えてしまったので、コーチとして関われる時間はかなり減ってしまいました。ただ、動画を送ってもらって、フィードバックしたりということは継続してやっています。
大城:自分はさっきも話にあったんですけど、乗り方が独特というか、首が座ってないというか……。テクニカルな乗り方ができないんですよね。なのでどうにかいろいろごまかしながら乗ってきたタイプでした。亮太くんの乗り方はテクニカルで、言ってしまえば自分とは真逆のライディングスタイルなんですけど、その辺を取り入れたいなって思ったんですよね。
コーチングをお願いする前後では乗り方がだいぶ変わって、確実に良くなっています。ただ、この前のレース(2025年D.I.D前日本モトクロス選手権第2戦)の時も何回も電話して、チーム監督の大貴くんに撮ってもらった動画とかを見てもらって、電話越しにダメ出しをくらってました(苦笑)。
馬場:練習ではいいけどレースになると攻めきれないという課題があるんですよね。すごい器用だし、レースでもそれをそのまま出せたらベストかなと思うんですけどね。
僕がコーチについた時からIAクラスにジェイ・ウィルソン(※2022年から全日本に参戦しているライダー。IA2でチャンピオン獲得後、IA1クラスで2連覇を達成)が出場し始めて、そこから魁之輔は1勝もできていないというのが心残りというか、悔しいですね。
大城:ジェイ・ウィルソンには勝たないといけないですね。ただ個人的には、ジェイが来たことで、勝てない悔しさを糧に頑張れている部分もあるので、これも良い刺激だなと思ってます。
馬場:たしかに、そうだね。
ライダーとして見るお互いの走り

馬場

大城
大城:ほんと、亮太くんは強いですよ。JEC(全日本エンデューロ選手権)のチャンピオンになって、負けることもほとんどなくて。いちライダーとして見ても本当にテクニカルで、基礎ができてると思います。
この前、イベントで初心者の方にライディイングを教える機会があって、亮太くんと一緒にレッスンをしました。その時に参加してくれた方に色々教えるのですが、レッスンでこうするといいと言ったことが実は自分もちゃんとできていなかったりして、落ち込んだりしました。でも、亮太くんはそんなことなくて、人に教えたことは絶対にできているんですよね。改めて走りの安定感とその凄さを実感しました
馬場:僕自身もコーチングしてる中で刺激を受けることもめっちゃあります。教えていることを自分ができてないと、できてないじゃんってなるので、そこにも気をつけています。普段口うるさく言っていることは、自分がやって調子がいいことなので、それを練習で試したりとか、レースでも「あ、これ自分で言ってたのにやってないな」とか思ったりして、気を引き締めながら走っていますよ。
魁之輔の走りは、コーチングし始めた頃から比べると、さらにいろんな路面を乗りこなせるようになっていて、速くなってきていると思いますし、トレーニングの成果もあって体力がかなりついていると思います。いちライダーとしては、出会った時から変わらず速いなと一目置いています。
関係の変化、現在の印象
馬場:魁之輔は沖縄出身ということで、沖縄独特の時間の使い方というか、ちょっとルーズなところもあるんですけど(笑)。僕らのチームBABANA SHOXに入ってからはその部分が改善されて真面目になったと思いますし、バイクのことになるとしっかりしています。練習もトレーニングも真面目に続けていて、すごいなと感じています。
大城:僕から見た亮太くんは、すごくしっかりしてるように見えるけど、意外と忘れ物とかも多くて抜けている部分があるなという印象に変わりました(笑)。でも、そこも含めて人間味があって、信頼できる存在です。
あ、ただ一つ言いたいことが……。去年マラソン大会に一緒に出て、その時は僕が勝ったんですけど、亮太くんがSNSで「勝った」って何度も言ってて(笑)。ちょっと誤解されてるかもしれないので、ここではっきり言っておきたいです、僕が勝ちました!(笑)
馬場:(笑)。
今シーズンの目標や意気込み
大城:今シーズンはもちろんチャンピオンを目指していましたが、前半の結果でランキングトップとだいぶポイントが離れてしまいました。チャンピオン獲得にはちょっと厳しい状況ですが、まずは優勝すること、それを目指しています。次の広島は、個人的に初表彰台と初優勝を果たしてる縁起のいい場所なので、ちゃんと結果を残します。
馬場:僕ももちろん勝ちを狙っています。ちゃんと結果を出して、自分の教えを走りでも見せていけるように頑張ります。
D.I.D全日本モトクロス選手権シリーズ2025 第4戦 中国大会 ヒート優勝!
大城選手、中国大会ヒート2にて念願のヒート優勝!おめでとうございます!インターバル後の名阪大会での活躍が楽しみです。
馬場選手は、怪我でリタイヤとなってしまったJNCC鈴蘭。しっかり怪我を治して、元気な姿で戻ってきてください!